湖底より愛とかこめて

ときおり転がります

それぞれの烙印―FE風花雪月のジェンダー・イクオリティ②

 本稿では、『ファイアーエムブレム 風花雪月』における「ジェンダー・イクオリティ」(あるいはジェンダーバイアスフリー)……男女の性別役割固定の撤廃へのとりくみにまつわる表現と、作品テーマとの絡みについて整理・考察します。

この記事のその①はこちら↓

homeshika.hatenablog.jp

 

 前回は、『風花雪月』作中での「女好きナンパ野郎」というジェンダー的ポリコレの問題になりやすい属性持ちキャラクターの描き方の倫理観・丁寧さから、この作品はジェンダー関連の描写にちょっと信頼をおいてもよさげ、という序文を書きました。

今回は本論として、今までのファイアーエムブレムシリーズ歴代作品のジェンダー問題取り扱いの変遷と、その中での『風花雪月』の位置づけ、そのこととフォドラの社会規範との関わりまで見ていこうとおもいます。

 

  •  歴代FEのジェンダー・イクオリティ取り組み
    • タイトル順・女性比率とジェンダー関連内容
    • 兵種における性差
  • 『風花雪月』の男女比率と兵種
    • マジ共同参画
    • なぜ男女の職業偏りが少ないか
      • ①女神を信仰し、女性であるレアが大司教をつとめている
      • ②貴族社会の継承権が紋章に依存している
  • 「紋章」と「性別」
    • ちょっとだけ強い力
    • 遺伝の乱数
    • 生育とバイアス
  • 差別の「ずらし」

 

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断絶の諸岸から―FE風花雪月のジェンダー・イクオリティ①

 本稿では、『ファイアーエムブレム 風花雪月』における「ジェンダー・イクオリティ」(あるいはジェンダーバイアスフリー)……男女の性別役割固定の撤廃へのとりくみにまつわる表現と、作品テーマとの絡みについて整理・考察します。

 

 まずこの作品においてジェンダー問題を話題に出すのは、『ファイアーエムブレム』シリーズ自体がいわゆるセクシュアルマイノリティ性的少数者)やジェンダーの問題にチマチマ挑戦をしてきている、というこれまでの流れがあるからです。

とはいえこのシリーズは今やニンテンドー世界に向けて売り出してるものであり(だからこそこういった問題には対応しないとスカンをくらうのです)、その挑戦が世界の目からするとオイオイものであることもしばしばあります。今作がその点でどのように評されているかの声はまだよく知らないのですが、少なくとも当方にはいい感じの処理を、しかも作品テーマと関わるかたちでやってのけているとみえるところがありますので、書き留めておくものです。

 以下、内容のネタバレも含みます。

  • シルヴァン=ジョゼ=ゴーティエの繊細
    • 前作からの反省
    • 「女好きナンパ野郎」
    • ローレンツくんの場合
    • シルヴァンくんの場合
  • 男女、貴賎、紋章

 

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プロメテウスの炎―FE風花雪月考察覚書き①

 本稿では『ファイアーエムブレム 風花雪月』の第一部クライマックス前時点での「炎の紋章」「竜」に関するテーマ予想考察を展開します。 

 

  かねてから「やれ」と諸方面に要請をもらっていた『風花雪月』にやっと手をつけています。ドラクエ11の衣装色の記事個人紋章の記事でもそのモチーフデザインの秀逸さを話題に出しましたね。やってねえのに。

もともとファイアーエムブレム(以下FEとも呼びます)プレイヤーではあったのですが、良くも悪くも売り方を変えた前二作からの、さらに学園ものだっていうじゃないですか、それだけ聞いたらろくな予感がしなかったんですよ。しかし、それは早計であった。

今作は制作協力(実質的な制作担当)にかの歴史・戦記もの友情や恋愛のシナリオの精細さでは他の追随を許さぬコーエーテクモのスタッフを迎え、物語の質や密度がポカーンレベルの高さになっています。制作協力スタッフには古くからFEのファンである人も多いとのことで、FEの伝統や深部テーマ、魅力的な空気感もふまえられています。ただコーエーらしくマップの文字表示がクソ小せえ!ことだけが問題(無双感)。

 

 今作は士官学校時代」「5年後のかつての同窓生たちが相争う戦争」との二部構成となっており、もうすぐ一周目の士官学校時代が終わるんじゃないかなーというところまで来ています。

非常に謎の多い世界観で、実質3~4周の視点(国)を変えたプレイが想定されていることからしてたぶん一周ではすべての謎が明らかにはならないのだと思うのですが、それでも細部まで表現の質が整えられているので、この時点でもなんかテーマが響いてくるところがあります。なので一部が終わって大どんでん返しのショックを受ける前に現時点でのテーマに関する予想をまとめておこうと。

 そんなわけで記事はネタバレ、ことに黒鷲の学級のネタバレを含みます。

予想が合ってた場合はそれ以上のネタバレ(?)にもなってしまうことになるのでお気をつけください。

 

  • 神の摂理に挑む者達
    • ヒロイン・エーデルガルト
    • 紋章の運命
  • この紋章は遺伝子組み換えを含みます
    • 変異遺伝子
    • 古代の骸
  • 「炎」の紋章
    • 人間の力
  • 竜の神
  • 人は人と歩いてゆける

 

 

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二人を超えてゆけ―デルカダール・ローマ

 本稿では、この間の紋章の記事で先送りした、ドラクエ11の大国「デルカダール王国」の紋章・国章「双頭の鷲」のシンボルとしての意味を考察していきます。

 この間の紋章の記事です↓

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 ドラクエ11の世界「ロトゼタシア」に存在する国や町村にはおおむねモデルとなる現実の国があるようで、こまかいところもよく作ってあります。ドラクエ3は位置と名前が現実の国々をモデルとしていましたが、今回は国の中身ですね。

(アラブの国をモデルとしているサマディーはアラブと同じに強い名馬の産地であったり、風車の情景が美しいバンデルフォンはオランダでオランダ人男性はグレイグおじさんがそんなに珍しくないほど高身長だったり)

(このへんのモデルのこともまた別記事で話しますね)

 そういった作り込まれた国々の中でも特に、デルカダール王国は魔王が潜伏してたわ、最初呂布みたいにスゲーこわい敵だった将軍が隠し仲間キャラになるわ、国章がキャラ紋章と並んでピンバッジになるわで、特別な国として扱われています。

 ここではそのデルカダールと国章に表されたモチーフを、モデル含めて確認していきますね。

  • 超えるべきもの
  • 欧米諸国家における「双頭の鷲」
    • 鷲か、獅子か、それ以外
    • 意匠の来歴
    • 「神聖ローマんち」
  • デルカンとダール
    • 「ローマ」とデルカダール
      • 丘がちな高地である
      • 地中海のようなものがある
      • 城壁との位置関係と居住区の身分差
      •  兄弟によって開かれた
      • 男社会である
      • 歴史が途切れてない
      • 信心深くない
    • ロムルスとレムス
    • ふたつの王冠
  • 「2」の力、そして限界
    • 矛盾
    • 太極図
    • フルール・ド・リス
  •  「ふたつでひとつ」を超えて

 

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キナイとロミアー人魚の悲恋イベントとはなんだったのか

 本稿ではドラゴンクエスト11、「ナギムナー村」の漁師キナイ、キナイ・ユキと人魚ロミアの恋のイベントの意味あいについて考察していきます。

 

 前回のキャラ紋章の記事

homeshika.hatenablog.jp

で、先送りした、デルカダール国章の話をしようと思ってるのですが、その前にちょっと別の話を……。

 

 ドラクエ11のテーマを「星と一般人の断絶」であるとたびたび話しているのですが、

homeshika.hatenablog.jp

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ナギムナー村の「人魚の悲恋」イベントはなんだかそういうテーマの中で意味合いがはっきりせず、これだけは「もしかして自分ぜんぜんテーマ読み違えてるんかな?」とずっと思っていたものです。

しかも、選択肢の正解もはっきりしない、いずれにしても美しくも悲しい結末を迎える、ドラクエにしてはけっこうパッキリと明るいドラクエ11の中では、逆にやや異彩を放っているエピソードです。

 しかも過ぎ去りし時を求めたあとのロミアの運命の変化など、不可解なことも多く、「えっ?」という後味を残してくる。だからこう、ある意味旧来のドラクエらしいともいえるエピソードでもあるわけです。

 

  • 「人魚の悲恋」イベント経緯
  • ドラクエ11の中でのナギムナーの異質性
  • ドラクエ6の「異類婚姻譚の挫折」
  • 「逆説の段落」としてのナギムナー村
    • 運命の固定、人への期待
    • 「抗った者」の末路
  • キナイ
    • 「異国の空き瓶を集めている」
    • 同じ手をしている
  • ロミア
    • なぜ二人の運命は変わったのか
    • いつか―ネルセンとセレン

 

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生き様、星となれ―キャラ紋章で読むドラクエ11

 本稿では、ドラゴンクエストⅪの各キャラにデザインされている「紋章」の意味について読み解いて考察していきます。みなさん紋章ピンバッジつきの『ドラクエⅪS』ゴージャス版・夢のゴージャス版の予約はされましたか?

store.jp.square-enix.com

 どれも美しくキャラらしいデザインですね。真ん中のシンボルデザインがゲーム中のスキルパネルのカタチだった(というかスキルパネルがシンボルのカタチをしていたのか?)というのも激アツで大好きです!

 服の色の記事を書いていたら次キャラ紋章の話するよ~て言ったロトの紋章の記事から一か月近くも経ってしまいました。服の色の記事でも述べたように西洋の紋章には本来は色ってメッチャ重要なものでとりあえず先に書いておきました。

 今回はキャラピンバッジ紋章のおおむねのモデル形式である、西洋の大紋章のポイントをふまえて話していこうと思うので、実在の西洋の紋章だとここに色の意味が乗ってくるのね~くらいに思っていてください。

 

  • 紋章とは?
    • 大紋章
    • 大紋章の構成要素
    • 大紋章じゃないやつ
    • 関係を表す紋章
  • パーティーメンバーたちの紋章
    • "悪魔"と釣り針―主人公
    • 心のホーム、心の檻―カミュ
    • めぐる命の大樹―ベロニカ、セーニャ
    • 清濁と気高き国主―マルティナ
    • 法皇の聖なる魂―ロウ
    • いつか一緒に輝いて―グレイグ
    • 三位一体の花―シルビア
  • 架空の紋章

 

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この美徳からの卒業―衣装色で読むドラクエ11②

 この間「明日朝早いからよ」つって力尽きた記事をけっこう読んでいただけましたので、

homeshika.hatenablog.jp

予告通り上記事をふまえまして、中ボスの人のおもしろ服について少しお話ししましょう。

上の記事も「紋章の話の前に軽く書くか~」て言っててああなったので別記事に立てときます。

 

  • 道化
  • 白ワントーンきれいめ、タッキースタイル
  • 真実と愛と道しるべの光
  • 黄金の鷲

 

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